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Section2. 微生物の世界〜発酵の主役 微生物〜
発酵には微生物が大変重要な役割を果たしています。
その微生物について紹介します。
微生物はどこにどのくらいいる?
地球上のどこにでもいます。
微生物には大気圏、深海、極寒の地、火山のほか、有毒ガスがある場所でも生きられてしまう強いものがいます。
そして、地球上には約500〜3000万種におよぶ生物が存在し、そのうち約300万種が微生物といわれています。
まだ人間が発見した微生物はほんの一部だけで、実際には現在の何百万倍もの種類がいると考えられています。
あまりにも種類があるため、まだ解明されていないことが多いです。
微生物はどのようなはたらきをしている?
答えは「分解」です。
例えば、枯れた植物や動物の死骸、排泄物を分解し、二酸化炭素や水を生み出します。
このようなはたらきをするものを「分解者」といいます。
誰が最初に微生物を発見した?
1672年、オランダ人のレーウェンフックが200〜300倍の顕微鏡を発明し、世界で初めて原生生物や細菌などの
微生物を観察しました。
その後、彼は次々と酵母、カビなどを発見しました。
発酵に関わる微生物とは?
発酵に関わる微生物を「発酵菌」と呼び、「細菌」「酵母」「カビ」に分けられます。
細菌
(下図左)・・・約1μm(マイクロメートル、1mmの1000分の1)のものをいいます。
細胞分裂によって増殖します。
乳酸菌・酢酸菌・納豆菌などがあります。
酵母(下図中央)・・形は多種多様で、球形や卵型、レモン型、三角形などがあります。
親細胞から芽が出て、成長すると分離し増殖します。
ビール酵母・ワイン酵母などがあります。
カビ(下図右)・・・菌糸と呼ばれる糸状の細胞を伸ばして生育し、菌糸体となります。
菌糸体は成熟すると胞子を形成し、放出された胞子は発芽して菌糸となります。
コウジカビ・アオカビなどがあります。
発酵食品には細菌で発酵しているものもあれば、カビで発酵しているもの、細菌と酵母など複数の微生物で
発酵しているものもあります。
具体的にどの食べ物が何で発酵しているかは「微生物が生み出す発酵食品」で詳しく説明します。
※発酵には関係ないプランクトンや藻類も微生物の一種です。
全ての微生物が発酵に関係するわけではありません。
拮抗作用とは?
微生物は「拮抗作用」という特殊な能力を持っています。
それは、ほかの菌を排除してある1種類の微生物だけが繁殖することです。
図で説明すると、
「拮抗作用」はこの後にも登場する重要なものなので、覚えておいてくださいね。
まとめ
・微生物は様々な環境にいるので種類が多く、解明されていないことが多い。
・微生物の役割は「分解」である。
・発酵に関わる微生物は「細菌」「酵母」「カビ」の3つに分けられる。
・微生物は「拮抗作用」という特殊な能力を持っている。
もっと知りたい!
日本の国菌
国花や国鳥のほかに国菌というものがあります(指定していない国もあります)。
日本の国菌は「黄麹菌(アスペルギルス
・オリゼー)」「醤油麹菌(アスペルギルス・ソーエ)」「黒麹菌(アスペルギルス・リュウキュウエンシス)」です。
例えば、味噌・醤油・日本酒など和食に使われる発酵食品の製造には、日本特有の菌である麹菌が欠かせません。
このことから、2006年には日本醸造学会によって麹菌が日本の国菌であることが定められました。
1. 発酵するとは
3. 三大発酵