ホーム>体験レポート>魚沼醸造

"米糀と甘酒の栄養と健康効果を知りたい"


世界最大級の米糀工場 魚沼醸造株式会社


https://www.uonuma-jozo.co.jp

【場所】新潟県魚沼市  【見学日】2019年8月5日


普段、CMや新聞広告で発酵食品をよく見かけませんか?
ヨーグルトなど代表的な発酵食品が多いですが、健康食品やサプリメント、美容に関するものもたくさんありますよね。
見学した魚沼醸造では、米糀の「甘酒」を製造しています。
夏休みに何気なく見た魚沼醸造の糀甘酒のCMがきっかけで、行ってみたいと思いました。

ところで、俳句では甘酒は夏の季語ですね。今は冬や春のイメージもありますが、どうして夏なのでしょう。
昔は夏の暑さで食欲が落ち体調を崩す人が多かったので、夏バテ予防のために栄養豊富で消化を助ける効果がある甘酒がよく飲まれていたからだといわれています。
江戸時代は甘酒売りという商売があるほど、一般庶民に親しまれた飲み物でした。

甘酒の需要増によって



2019年3月5日、米糀をはじめとした発酵食品を製造する世界最大規模の工場が魚沼市に誕生しました。
2015年以降、糀甘酒の美肌効果が注目されたことで甘酒ブームが起きたことや、ここ数年の記録的猛暑の影響で予想以上の需要増になり、安定的な供給が必要になりました。



製造する発酵食品について



主に米糀を使った「糀甘酒」や、味噌づくりに欠かせない「米糀」、肉や魚料理に使う調味料「液体塩糀」(肉や魚を漬けておくとたんぱく質を分解し柔らくする)などを製造しています。
中でも糀甘酒は、酒粕から造る甘酒とは違いアルコール0%です。米の自然な甘さとやさしい口当たりが特徴で、砂糖は不使用です。生後10ヵ月の乳幼児から妊婦、老若男女まで飲むことができる栄養価が高い飲料です。



米糀には良質な水と米



工場見学のはじめに、シアタールームで魚沼の四季折々の豊かな自然や人々の暮らしを鑑賞しました。映像から分かったことをまとめます。
日本屈指の米どころ魚沼。越後三山(八海山・中ノ岳・駒ヶ岳)から約10q、高低差1900mを伏流水となり湧き出る豊かな軟水は、長く厳しい冬を耐え、ようやく春を迎えた魚沼の人々にとって恵みの水です。
農家は雪解け水を使い、丹精込めて米や野菜を作り、ぬか漬けや味噌、米糀で手作りする甘酒など、自然の恵みと風土が生み出す発酵食品を未来へ残したいと、郷土料理を伝承する活動を大切にしてきました。
糀づくりに必要な良質な米と水に恵まれた魚沼は、全国42カ所も
あった候補地から選ばれました。



  

         魚沼糀サロンの展示
            (魚沼醸造にてチームメンバーが撮影)


 豆知識@


 こうじは漢字で「糀」や「麹」と書きますが、
 米こうじに使われる字はどちらでしょう?

 答えは「糀」。
 麹は漢字で奈良時代から、糀は国字(和製漢字)で
 明治時代初期から使われています。
 米糀を作るときに、米に花が咲くようにコウジカビ
 が生えることから、この漢字が作られました。





米糀の製造方法



@ 精米された米はステンレス製のタンクへ運び込まれ、3種類の選別機
  で異物(主に小石やガラス片)が取り除かれる。
  →独自にブレンドした米を米糀にしている。

A 米はタンクで10時間浸漬し、横型蒸米機で下から蒸し上げる。
  蒸米はコンベア上で冷まし、麹菌を均一に吹き付け種付けする。
  →窓ガラスは蒸気で白く結露していた。横型蒸米機で40分蒸し上げ、
  まるで大きな炊飯器のようだった。蒸米はコンベア上で30〜40℃
  まで冷まし、空気(風)の力で米と麹菌をまんべんなくかき混ぜる。

B 種付けされた蒸米(20t)は巨大な円盤状の装置(直径16m)上に敷き
  つめ、羽の付いた手入れ機でゆっくりと2日間混ぜる。→発酵
  乾燥米糀を生産する円盤型製麹装置は世界最大クラス。
  →30℃に温度管理されていた。

C 固まりになってしまった糀はふるいで取り除き、色彩選別機で異物や
  不良品を除去後、均一で良質な糀だけがストックされる。室温は15℃に保たれ、麹菌の活動を抑える。

 「糀甘酒」は良質に仕上げた糀と魚沼の軟水で仕込み、厳密な温度管理で甘酒になります。
 完成後は雑菌の繁殖を防ぐため、加熱してから冷却します。
 米糀に塩や水または醤油を加え発酵・熟成させると「塩糀」や「しょうゆ糀」という発酵調味料になります。

     

※魚沼醸造株式会社 麹甘酒ができるまで おしごと年鑑 パンフレットより (2019.8)



 豆知識A


 甘酒は栄養補給のための点滴と成分が似ていることから「飲む点滴」、また美白効果が期待されるので
 「飲む美容液」と呼ばれ、多彩な栄養素を含む飲料として注目されています。

 早速飲んでみましたが、糀甘酒に酸味のある飲料(乳酸菌飲料や野菜ジュースなど)を混ぜたりスムージーに
 加えると、甘酒が苦手な方でもとても飲みやすくなるのでおすすめです。



まとめと感想


見学できたのは、米糀(蒸米に麹菌を繁殖させた加工品。糀甘酒の素になる)の製造工程です。
最新機械がずらりと並び、中でも麹菌を蒸米に種付けし乾燥米糀にする工程は圧巻でした。
世界屈指の巨大な円盤型製麹装置に敷き詰められた蒸米が、ローラーで均一にかき混ぜられます。
江戸時代には想像もできなかった光景ですね。
糀甘酒の売上げは数年前に比べ約10倍に伸長したそうです。一度に大量の良質な米糀が製造できるため、いつでも飲めるようになりました。

この米糀はその後、工場内で米飯と糖化させ甘酒になります。米糀には麹菌がつくった酵素が豊富です。
酵素(アミラーゼ)はでんぷんをブドウ糖(甘味)に分解し、自身の代謝の過程でアミノ酸(うま味)やビタミン(B1・B2・B6)などの栄養素を生み出します。また、たんぱく質をある程度分解してくれるため、人の体内で消化・吸収されやすくなります。
他にも甘酒の食物繊維とオリゴ糖が腸内細菌のエサとなり善玉菌が繁殖します。そのため脳の活性化や疲労回復、肌の新陳代謝、腸内環境改善効果があり、古くから私たちの健康を支えてきた発酵食品だと分かりました。