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ヨーグルト


乳に加えられた乳酸菌は、乳に含まれる乳糖などの糖分を栄養源として繁殖しますが、その過程で乳酸や酢酸などを分泌します。これが乳酸発酵です。
乳酸が増えると乳が酸性になり、乳中の主要なたんぱく質であるカゼインが凝固します。プレーンヨーグルトが固まっているのはこのためです。


歴史

ヨーグルトの起源には諸説ありますが、8000〜6000年前に中央アジアで偶然生まれたのが始まりといわれ、原形になるものが食べられていたと考えられています。
日本では1894年、牛乳業者が整腸作用をうたいヨーグルトを初めて製造しました。
当時は牛乳の供給が消費を上回っていたため、余剰な牛乳をヨーグルトに利用したそうです。

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乳酸菌が注目され世界的にヨーグルトが普及したきっかけは、ロシアの生物学者メチニコフによる「不老長寿説」です。
メチニコフは、ブルガリアで乳酸菌を豊富に含むヨーグルトを常食している人に長寿者が多いことを発見し、調査しました。
ヨーグルトが長寿に繋がるということを世間に知らしめました。

プロバイオティクスとは?

最近、ヨーグルトのCMで「生きたまま腸に届く」という言葉を耳にしますよね。ヨーグルトを作る乳酸菌は生きたまま腸に到達し、腸内環境を良好な状態に保って腸の調子を整える働きがあります。
このような微生物のことを「プロバイオティクス」といい、近年盛んに研究されています。


製造法

一般的なヨーグルトの原料は牛乳ですが、牛以外の動物の乳が使われることもあります。
ヨーグルトの製造では、たいていの場合は2~3種類の乳酸菌を混ぜ発酵させます。
それぞれの乳酸菌が別々にはたらいているのではなく、お互いに協力し合って発酵を進めていることが知られています。


栄養・効果

牛乳には豊富な良質のたんぱく質があり、発酵することで消化・吸収が抜群によくなります。

牛乳のカルシウムは乳酸菌と結びついて乳酸カルシウムになり、たんぱく質同様吸収されやすくなります。

皆さんの中には牛乳を飲んでおなかがゴロゴロする人がいるかもしれません。
その原因は牛乳に含まれる乳糖が腸内のラクターゼによって十分に分解されないことです。
日本人は遺伝的にこのラクターゼを持っていない人が多くいます。
乳糖はラクターゼによってブドウ糖やガラクトースに分解され、ガラクトースは肝臓でグルコースになり、栄養源として蓄えられます。
乳酸菌は強い活性のラクターゼを有しているため、ヨーグルトはおなかがゴロゴロすることがなく、安心して食べることができます。


体験レポート


明治 なるほどファクトリー守谷


参考資料


誠文堂新光社  発酵のきほん P70〜73
日刊工業新聞社 トコトンやさしい発酵の本 P34〜35
実業之日本社  発酵検定公式テキスト P18,72