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権利の歴史

1762年 ルソー『エミール』を著す

古代から近代にかけて、子どもの権利は十分に守られてきませんでした。古代ローマの家父長制家族では、子どもは家父長の所有物と見なされ、子どもの生死は家父長の思うがままでした。また、障害を抱えた子どもや、役に立たないと見なされた子どもは、間引き子殺しの対象となっていました。

中世においても、家父権は強く、子どもは子捨て子殺しの対象として、または労働力として見られており、子どもの人格は尊重されていませんでした

近代においては、信仰・言論の自由や財産権の不可侵などの「自由権」をはじめとする「人権」の概念が確立されていき、人権思想の発展の発展が見られました。しかし、それは子どもや女性を排除した上で展開されていたものでした。実際に、パスカルが「子どもは人間ではない」と述べたり、ホッブスが、子は父から保護を受けているため、父に服従する義務があり権利は持たないとしたりするなど、子どもは大人と同格の権利の主体として見られませんでした。ジョン・ロックは、子どもの自然権を認め、「子が独立するまでは親により養育される権利」を認めましたが、これは親による体罰や、強大な監督支配権を前提とするものでした。

そのよう中で、近代的人権思想の先駆者として、ルソーは『エミール』を著し、「人は子どもというものを知らない。子どもについて間違った観念を持っている。」、「人は子どもの状態をあわれむ。人間がはじめ子どもでなかったなら、人間はとうの昔に滅びてしまっていたにちがいないということがわからないのだ。」「生きはじめると同時に学びはじめる。このとき教育もまたはじまるのだ。」と述べました。ここでは、前述したような子どもに対する家父長的な姿勢を批判し、子どもを、可能性を持ち、教育を受け、学ぶことで成長していく、学びの主体として位置付けています。

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