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レポート

アンケート

概要

私たちは、子どもの権利条約の認知度を調査するにあたり、本校文化祭来場者を対象としたアンケート調査を実施しました。また、その結果を踏まえ、考察をしました。
※新型コロナウイルス感染症対策を万全に行った上で実施しました。

総データ数:440
実施期間:2022年11月12日〜2022年11月13日
実施方法:筆記形式

回答者情報

年齢:小学生以下(122)/ 中学生(82)/ 高校生(65)/ 大学生以上(162)
性別:男性(238)/ 女性(155)/ その他(5)

回答者情報

質問内容

【Q1】「子どもの権利条約」という条約を知っていますか。(選択式)
内容をよく知っている・内容を少し知っている・名前は知っている・知らない
【Q2】あなたは、子どもの権利をめぐる社会問題に関心がありますか。(選択式)
とてもある・ある程度ある・あまりない・全くない
【Q3】子どもの権利についての記述として正しいと思うもの全てに ✔︎(チェック)を入れてください。(選択式 / 複数選択可)
□  ア. 子どもは大人と同様に一人の人間として、人権と人格を尊重しなくてはならない。
□  イ. 子どもの生存および発達を最大限確保しなくてはならない。
□  ウ. 子どもには、遊び、休む権利がある。
□  エ. 子どもの権利は、子ども自身が責任を果たして初めて認められる。
□  オ. 子どもには、自由に自己の意見を表明することができる。
□  カ. 子どもには、思想・良心・宗教の自由がある。
□  キ. 子どもは、医療・保険サービス、社会保障を利用することができる。
【Q4】現代の日本社会で、子どもの権利は十分に尊重されていると思いますか。(選択式)
十分にされている・一定程度されている・あまりされていない・全くされていない
【Q5】現代の日本社会で、子どもの権利が守られていないことがあると思いますか。あるとすれば、どのようなものですか。(記述式)
【Q6】Q5に関連した、最近の事件・ニュースで印象に残っているものはありますか。(記述式)
【Q7】子どもがより良い暮らしを営むために、国や地域、学校、家族などにどのようなことを望みますか。(記述式)

結果

【Q1】「子どもの権利条約」という条約を知っていますか。

名前は知っている(134)/ 知らない(105)/ 内容を少し知っている(88)/ 内容をよく知っている(14)

Q1回答
【Q2】あなたは、子どもの権利をめぐる社会問題に関心がありますか。

ある程度ある(191)/ あまりない(87)/ とてもある(38)/ 全くない(20)

Q2回答
【Q3】子どもの権利についての記述として正しいと思うもの全てに ✔︎(チェック)を入れてください。
Q3回答
【Q4】現代の日本社会で、子どもの権利は十分に尊重されていると思いますか。

一定程度されている(218)/ あまりされていない(71)/ 十分にされている(24)/ 全くされていない(4)

Q4回答
【Q5】現代の日本社会で、子どもの権利が守られていないことがあると思いますか。あるとすれば、どのようなものですか。

〈一部回答抜粋(総回答数:126)〉
・統一教会の2世問題
・暴力、ネグレクトなどの虐待やヤングケアラー
・思想宗教の自由
・受験のシステム
・教育・経済格差
・親の知識や、考え方に左右される
・子供が主体的に発信できる場が少ない
・コロナで学校に行けない
・赤ちゃんの中絶
・十分な食事がとれない
・ない

【Q6】Q5に関連した、最近の事件・ニュースで印象に残っているものはありますか。

〈一部回答抜粋(総回答数:102)〉
・児童虐待
・ウクライナ戦争
・宗教2世問題
・ヤングケアラー
・シングルマザー家庭の貧困
・迷子での死亡事件
・待機児童
・子どもの自殺
・バス置き去り

【Q7】子どもがより良い暮らしを営むために、国や地域、学校、家族などにどのようなことを望みますか。

〈一部回答抜粋(総回答数:123)〉
・学校が家庭のことを知っておくなど、時代にあわせること(制度の充実、子供優先の政策や社会の仕組み、子供は家族だけでなく社会全体で育てるものだという共通の社会認識を作っていくこと)。
・学費・医療費が安くなる制度が強化されるといいなと思います。
・自分が子供だった事を思い出して対応する、両親・家族だけが育てるのではなく、地域、社会全体でコミュニケーションを図ることが大切だと思う、相談できる場所の情報、自分の人生は自分で選択するものだと幼い頃から知る機会があるべきだと思う。ただ、大人に頼ることをためらう必要はないと感じられるように接してほしい。

全体を通して

【Q1】では、子どもの権利条約の認知度について調査しましたが、条約について「知らない」と答えた割合は約3割を超え、「内容をよく知っている」と答えた人は5%未満に留まりました。条約の名前を知っている人は多く、決して認知度がないわけではないですが、「内容をよく知っている」と答えた人でも、【Q3】と合わせて見ると正しい選択肢が選べておらず、子どもの権利の理解が十分でない人が多くいました。この結果から、子どもの権利条約は社会に浸透していない、また子どもの権利自体も正しい理解が定着していないといえます。

【Q2】では子どもの権利に関心を示した人の割合が半数を超えるなど、全体から見れば子どもの権利に関心を持っている人は多いと言えます。しかし、「関心はあまりない・ない」と答えた人の割合は3割ほどいることから、あまり子どもの権利に興味がない・興味を持てない人が一定数いることも事実です。

【Q3】では子どもに遊ぶ権利があることや、思想・良心・宗教の自由が保証されていることを知っている割合が低く現れました。今後の子どもの権利の理解度を上げるために重要な要素ですが、それ以上に顕著に現れたこと、それは、関心があまりない人は、Q3の正答率がとても低い傾向にあったことです。子どもの権利についてあまり理解ができておらず、関心の低い層。決して少なくないこの層の人たちに、どうやったらこの現状を知ってもらうのかも、私たちが超えなければいけない課題の一つです。そこで、この層に当たる人達の回答したこのアンケートに見られた共通点から、今後この課題解決に繋がる要素を取り上げます。Q6の回答では、ほとんどの人が「宗教2世問題」や「バスに児童を置き去りにした事件」などのニュースで取り上げられやすい問題に関連する回答をしました。つまり、関心がないと答えた人でも、今現在起こっている社会問題が、子どもの権利に反していることを理解しているということです。今後ネットニュースなどで上記で挙げた子どもの権利が守られていないような事件を取り上げることが増えれば、次第に関心のある層が増えていくと考えられます。

【Q4】ではおおよその人が日本社会では「子どもの権利が一定程度尊重されている」と答えました。また、「あまり尊重されていない」と回答した割合が次に多かったことから、日本では完璧に子どもの権利が尊重されているわけではなく、改善の余地があると考えられているということがわかります。

【Q5 / 6】では記述式で「日本社会で子どもの権利が守られていないこと」を調査しました。【Q5 / 6】に共通して、「宗教2世問題」「虐待」「教育・経済格差」「親(大人)によって権利が損なわれている」といった回答が多く見受けられました。他にも、「ネグレクト」や「ヤングケアラー」などの用語を使った回答や、「コロナ」「受験のシステム」など、子どもの権利について語られる場であまり取り上げられない具体的な回答も多くありました。

少し踏み行って結果を観察すると、年代別の回答を比較することで見えてくることがいくつかありました。【Q1】では中学生〜大学生以上の回答者で「知らない」と答えた割合は2割強なのに対し、小学生は「知らない」と答えた割合が5割ほどと、子どもの権利について知る機会が、中学生のうちに最も増加していることが分かります。また、【Q2】での小学生以下〜高校生の回答の割合は類似しているのに対し、大学生以上の回答は「ある程度ある」と答えた割合が多く、「あまりない」と答えた割合が少ないという結果になりました。【Q1 / 2】より、大学生以上が子どもの権利条約について最も認知度が高く、関心も最もあることから、子どもの権利条約を知ってもらうことが、子どもの権利の諸問題について考えてもらうことに効果的であることが分かります。

【Q5】の回答では、年代別に大きな違いが見受けられました。小学生以下は「児童置き去り」についての回答が多く、中学生は「児童置き去り」や「虐待」、高校生は「虐待」や「宗教2世問題」について、そして大学生以上は「宗教2世問題」と、回答の内容が推移していくことが分かりました。このことから、自分の身近に起こりうる問題が印象に残りやすいという傾向があることが推測でき、中高生を主な対象としているこのサイトでは、「虐待」などの中高生にも起こりうるテーマが効果的と考えました。

所感

アンケートを取ることで、周りの人がどのように「子どもの権利」という問題を感じているのかが明確になり、どういったアプローチをすればより多くの人に興味・関心を持ってもらえるのかを考える良い機会となりました。また、興味・関心の分析だけでなく、様々な視点から子どもの権利がどう見えているのかが視覚的に見れたと思います。

まとめ

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