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権利の歴史

2011年 「通報手続きに関する選択議定書」

2011年12月19日、国連総会において「子どもの権利条約通報手続きに関する選択議定書(第3議定書)」が採択されました。同議定書は、子どもの権利委員会への個人通報制度について定めています。個人通報制度とは、個人が人権侵害を受けた際に、国内での救済措置を尽くしても救済されなかった場合、条約機関(子どもの権利条約では子どもの権利委員会が該当します。)へ直接通報することができる制度です。条約機関は、通報に基づいた審議を行い、「見解」を発表します。この見解には、法的拘束力はありませんが、世論の後押しによって通報のあった国の法整備の見直しが行われ、人権侵害が起こる状況が是正されることを目指しています。現在、個人通報制度は、国際人権保障の枠組みには必要不可欠な存在と考えられており、同議定書が採択された当時、9つあった国連の人権条約の中で同制度を備えていないのは子どもの権利条約のみでした。

そのような中で、同議定書は国連人権理事会および国連総会で提案され、採択に至りました。2022年の時点で、同議定書の締約国は50ヵ国になっています。日本は、同議定書の提案時の共同提案国となっていましたが、2022年時点では同議定書を署名・批准していません。日本政府は、諸人権条約の個人通報制度について、条約の実効性を高める制度として注目しているが、日本の司法制度や立法政策との関連や実際の個人通報制度の実施体制など、検討すべき課題が残っており、真剣に検討していくとの見解を示しています。

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