第6条生きる権利・育つ権利
- 締約国は、すべての児童が生命に対する固有の権利を有することを認める。
- 締約国は、児童の生存及び発達を可能な最大限の範囲において確保する。
第6条では、子どもの生命への固有の権利を保障しています。また、締約国が子どもの生存および発達を最大限確保するよう規定されています。本条は、第2条・第3条・第12条とともに条約の一般原則と位置付けられています。「生命への固有の権利」とは、すなわち、誰からもいかなる理由によっても生命を奪われたり、生存を妨げられたりしない権利を指しています。この権利は国際人権規約にも、すべての人間の生命への固有の権利とその権利の法律による保護を定めており、本条はこれを子どもについて再確認しているといえます。ただ、本条では国が子どもの生存・発達を確保するよう定められており、これは国際人権規約にはありません。ただ子どもの命が守られていればよいというだけでなく、国が積極的に紛争や暴力、貧困、環境問題などを防いで行かなくてはならないということを示しています。
日本では、憲法第13条をはじめ、国内法によって生命への権利は保護されています。生存・発達の確保においても、児童福祉法などで保障されています。そのため、新たな法整備などの措置は取る必要はないとされています。一方で、個別の課題については問題がないとはいえない状況です。子どもの権利委員会による、「日本の第4回・第5回政府報告に関する総括所見」では、本条で定める権利について、児童が社会の競争的性質によって発達を害されないよう措置を取ること、児童の自殺や児童関連施設での事故、交通事故、学校における事故及び家庭内の事故に関して勧告がされています。〔所見20〕このような、それぞれの問題については対策を強化していくことが必要です。