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現状と改善策

性被害

現状

児童性被害の現状

未成年の性被害とは、主に児童買春、児童(ここでいう児童とは、法律上18歳未満のものとされている)の性に着目した形態の営業や、痴漢・ストーカー行為、みだらな性行為等などを指し、日本での被害件数は年に2000人程度確認されています。世界規模の飢餓などと比べると少ない数に見えますが、性被害は実際に被害にあった数と検挙された数が大きく異なります。日本で性被害にあった女性のうち67.5%が誰にも相談をしていないという結果もあり、未成年では更に被害について相談をしている割合が少ないことは想像できます。また、未成年の性被害は日本だけの問題ではありません。アメリカの調査では、11%の高校生が性被害にあったことがあると回答しました。

日本での被害件数は年に2000人程度

しかし、その中でも日本は未成年の性被害に対する対応が遅れていると言えます

被害件数、児童相談所への相談件数などが2000人程度と発表されているのに対し、専門家により行われた推定によると、18歳までに女性の39.4%、男性の10.0%が性的被害にあっていたという結果が報告されています。もちろん、この「被害」の程度が人によって違うため正確な調査とは言えず、このデータを利用して日本は他国よりも性被害が多いとは言い切れません。実際、国連機関による調査によると日本の性犯罪率は世界平均を下回っており、アイルランド・スウェーデンやアメリカの半分以下に留まっています。ですが、ここで伝えたいことは、性犯罪率の低さ=性被害が少ないというわけではないということです。スウェーデンではあらゆる場合でも、お互いが同意した場合でなければ犯罪とみなされ、日本よりも性犯罪の通告率、被害の有罪率が高いことが国連調査の性犯罪率の高さの原因となっています。逆に言えば、日本は水面下で発生している性被害や、証拠不十分で無罪になった性犯罪が多く、性被害は日本では深刻ではないと受け止められてしまうことに問題があります。

「見えない」性被害が多い

法律面での課題

日本の性犯罪に対する法律は多くの問題を抱えており、2017年の刑法性犯罪改正により、やっと諸問題の解決がなされました。2017年の改正以前では、性犯罪の被害者は女性、加害者は男性と決まっており、家族内での性被害は罪に問われませんでした。2020年の刑法見直しにより性交同意年齢が13歳から16歳に引き上げられましたが、未だに同意のない性行為(暴力・脅迫と認められない程度のもの)を処罰する対策がなされていないことが問題視されています。また、これらの犯罪を起訴するには十分な証拠が必要であり、多くの性被害では証拠が残っていなかったり、児童の証言だけでは証拠として認められなかったりと、子どもの権利が認められているとは言い難い状況にあります。現状では、未成年の被害者が相談・告訴しにくい環境、性被害のケアの不十分さ、そして法律改正の必要性などが問題点として残り続けています。

同意のない性行為を禁止する対策がない

日本における痴漢や盗撮

先述した国連の調査結果を詳しく見てみると、日本は他国に比べわいせつ罪の割合が高いことがわかります。これは日本特有の「満員電車」により、加害者の特定が判断しにくいことが、原因といわれています。また駅構内では盗撮も多く発生しており、国内産のスマホではシャッター音を付けることで対策をしていますが、最近ではシャッター音を消せるアプリや小型カメラを悪用した、悪質な手口が増えてきているのが現状です。

インターネットを介する性犯罪

近年、インターネットの普及により、インターネットを介した未成年への性犯罪が増加してます。法律面では未成年の出会い系サイト(又はマッチングアプリ)を通した被害を防止するため、「出会い系サイト規制法」を2003年に制定し、2019年に改正しています。しかし出会い系サイトの定義が曖昧なため、SNS上での性犯罪を撲滅するには至っていません。

インターネットを介した性被害も

改善策

現状で述べた未成年の性被害の問題を踏まえると、具体的な改善策としては、「法律・条例の見直し」「性被害への教育」が挙げられます。

法律・条例の見直し

法律や条例の見直しは、現在行われている対策の中で最も効果が期待され、実現可能な施策となっています。現状で述べた通り、2017年・2020年の法改正により多くの性被害が正しく処罰されるようになりました。暴力などを伴わない性行為は同意がない場合でも無罪という課題や、裁判を通して相手に名前が知られること、時効の存在による無罪の可能性など、解決すべき課題は明確です。

性被害の教育

日本の性教育が遅れているという事実は、周りの先進国との性教育への対応の違いを見れば明らかです。特に、日本では性教育は思春期になってからでないと児童が理解できないというような考え方があります。しかし、性被害という観点から見れば、思春期からの教育では遅すぎます。性被害は小学校高学年に留まらず、低学年の児童にも及んでいます。もちろん、思春期の児童に教えるような内容ではなく、あくまで性被害を防げるような最低限の知識をつけさせることが重要です。特に、小学生の年代に起こる性被害では、児童自身が被害を被っていることに気づいていない場合が存在するのは事実です。小学校低学年からの性被害防止の教育をすること、そして家庭内でも児童に性の常識を身につけさせておくことが有効な手段となり得ます。

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