トップページ子どもの権利条約 > 43-54. 条約のしくみ

子どもの権利条約 43-54. 条約のしくみ

43-54条約のしくみ

第43条から第54条では、締約国政府や国連、その他の機関がどのように本条約で認めている子どもの権利を保護するために機能していくかを定めています。以下は、その内容を要約したものです。

第43条


  1. この条約において負う義務の履行の達成に関する締約国による進捗の状況を審査するため、児童の権利に関する委員会(以下「委員会」という。)を設置する。委員会は、この部に定める任務を行う。
  2. 委員会は、徳望が高く、かつ、この条約が対象とする分野において能力を認められた10人の専門家で構成する。委員会の委員は、締約国の国民の中から締約国により選出されるものとし、個人の資格で職務を遂行する。その選出に当たっては、衡平な地理的配分及び主要な法体系を考慮に入れる。(※1995年12月21日、「10人」を「18人」に改める改正が採択され、2002年11月18日に同改正は発効した。)
  3. 委員会の委員は、締約国により指名された者の名簿の中から秘密投票により選出される。各締約国は、自国民の中から1人を指名することができる。
  4. 委員会の委員の最初の選挙は、この条約の効力発生の日の後6箇月以内に行うものとし、その後の選挙は、2年ごとに行う。国際連合事務総長は、委員会の委員の選挙の日の遅くとも4箇月前までに、締約国に対し、自国が指名する者の氏名を2箇月以内に提出するよう書簡で要請する。その後、同事務総長は、指名された者のアルファベット順による名簿(これらの者を指名した締約国名を表示した名簿とする。)を作成し、この条約の締約国に送付する。
  5. 委員会の委員の選挙は、国際連合事務総長により国際連合本部に招集される締約国の会合において行う。これらの会合は、締約国の3分の2をもって定足数とする。これらの会合においては、出席しかつ投票する締約国の代表によって投じられた票の最多数で、かつ、過半数の票を得た者をもって委員会に選出された委員とする。
  6. 委員会の委員は、4年の任期で選出される。委員は、再指名された場合には、再選される資格を有する。最初の選挙において選出された委員のうち5人の委員の任期は、2年で終了するものとし、これらの5人の委員は、最初の選挙の後直ちに、最初の選挙が行われた締約国の会合の議長によりくじ引で選ばれる。
  7. 委員会の委員が死亡し、辞任し又は他の理由のため委員会の職務を遂行することができなくなったことを宣言した場合には、当該委員を指名した締約国は、委員会の承認を条件として自国民の中から残余の期間職務を遂行する他の専門家を任命する。
  8. 委員会は、手続規則を定める。
  9. 委員会は、役員を2年の任期で選出する。
  10. 委員会の会合は、原則として、国際連合本部又は委員会が決定する他の適当な場所において開催する。委員会は、原則として毎年1回会合する。委員会の会合の期間は、国際連合総会の承認を条件としてこの条約の締約国の会合において決定し、必要な場合には、再検討する。
  11. 国際連合事務総長は、委員会がこの条約に定める任務を効果的に遂行するために必要な職員及び便益を提供する。
  12. この条約に基づいて設置する委員会の委員は、国際連合総会が決定する条件に従い、同総会の承認を得て、国際連合の財源から報酬を受ける。

第43条では子どもの権利委員会の設置について定めています。委員会は締約国が条約で定められた義務を遂行しているかどうかを監視するために設置されています。委員会は10人の専門家からなり、国や機関の代表としてではなく、個人として委員を務めています。委員は締約国の会合で特定の地域・法体系に偏らないように選出され、任期は4年です。委員会の経費は国連の通常財源から支出されます。

第44条


  1. 締約国は、(a) 当該締約国についてこの条約が効力を生ずる時から2年以内に、(b) その後は5年ごとに、この条約において認められる権利の実現のためにとった措置及びこれらの権利の享受についてもたらされた進歩に関する報告を国際連合事務総長を通じて委員会に提出することを約束する。
  2. この条の規定により行われる報告には、この条約に基づく義務の履行の程度に影響を及ぼす要因及び障害が存在する場合には、これらの要因及び障害を記載する。当該報告には、また、委員会が当該国における条約の実施について包括的に理解するために十分な情報を含める。
  3. 委員会に対して包括的な最初の報告を提出した締約国は、1(b) の規定に従って提出するその後の報告においては、既に提供した基本的な情報を繰り返す必要はない。
  4. 委員会は、この条約の実施に関連する追加の情報を締約国に要請することができる。
  5. 委員会は、その活動に関する報告を経済社会理事会を通じて2年ごとに国際連合総会に提出する。
  6. 締約国は、1の報告を自国において公衆が広く利用できるようにする。

第44条では、締約国の報告義務について定めています。締約国は、子どもの権利に関わる状況や、条約で認められている子どもの権利のために実施した措置、子どもの権利の享受の進捗状況などを子どもの権利委員会へ定期的に報告しなくてはなりません。また、子どもの権利委員会がその活動内容について、2年ごとに国連総会へ報告することについても定められています。

第45条


この条約の効果的な実施を促進し及びこの条約が対象とする分野における国際協力を奨励するため、
    1. 専門機関及び国際連合児童基金その他の国際連合の機関は、その任務の範囲内にある事項に関するこの条約の規定の実施についての検討に際し、代表を出す権利を有する。委員会は、適当と認める場合には、専門機関及び国際連合児童基金その他の権限のある機関に対し、これらの機関の任務の範囲内にある事項に関するこの条約の実施について専門家の助言を提供するよう要請することができる。委員会は、専門機関及び国際連合児童基金その他の国際連合の機関に対し、これらの機関の任務の範囲内にある事項に関するこの条約の実施について報告を提出するよう要請することができる。
    2. 委員会は、適当と認める場合には、技術的な助言若しくは援助の要請を含んでおり又はこれらの必要性を記載している締約国からのすべての報告を、これらの要請又は必要性の記載に関する委員会の見解及び提案がある場合は当該見解及び提案とともに、専門機関及び国際連合児童基金その他の権限のある機関に送付する。
    3. 委員会は、国際連合総会に対し、国際連合事務総長が委員会のために児童の権利に関連する特定の事項に関する研究を行うよう同事務総長に要請することを勧告することができる。
    4. 委員会は、前条及びこの条の規定により得た情報に基づく提案及び一般的な性格を有する勧告を行うことができる。これらの提案及び一般的な性格を有する勧告は、関係締約国に送付し、締約国から意見がある場合にはその意見とともに国際連合総会に報告する。

第45条では子どもの権利委員会が、国連の専門機関やユネスコ、その他の国連機関、「その他の権限ある機関」と連携・協力して作業をすることを求めています。国際NGOは、「その他の権限ある機関」として扱われます。上記機関は条約の実施についての審査に代表を出せたり、委員会からの要請を受けて助言や報告をしたり、締約国への委員会からの所見や提案の送付を通じて各国に助言や援助を与えたりできます。委員会は、このような作業を通じて、各国政府の報告や条約で定められた義務の実施状況をチェックし、提案と一般的勧告を行うことができます。

子どもの権利委員会と国連の専門機関などが連携していることを表した図

第46条


この条約は、すべての国による署名のために開放しておく。

第46条では、本条約が全ての国による署名のために解放されていることを記しています。

第47条


この条約は、批准されなければならない。批准書は、国際連合事務総長に寄託する。

第47条では本条約は批准されなくてはならず、国連事務総長に批准書が寄託されることを定めています。

第48条


この条約は、すべての国による加入のために開放しておく。加入書は、国際連合事務総長に寄託する

第48条では、本条約に全ての国が加入できることを定めています。

第49条


この条約は、20番目の批准書又は加入書が国際連合事務総長に寄託された日の後30日目の日に効力を生ずる。 この条約は、20番目の批准書又は加入書が寄託された後に批准し又は加入する国については、その批准書又は加入書が寄託された日の後30日目の日に効力を生ずる。

第49条では、条約の効力発生について定めています。具体的には、国連事務総長に20番目の批准書、もしくは加入書が寄託された日の30日後の日に本条約は効力を持ちます。

第50条


  1. いずれの締約国も、改正を提案し及び改正案を国際連合事務総長に提出することができる。同事務総長は、直ちに、締約国に対し、その改正案を送付するものとし、締約国による改正案の審議及び投票のための締約国の会議の開催についての賛否を示すよう要請する。その送付の日から4箇月以内に締約国の3分の1以上が会議の開催に賛成する場合には、同事務総長は、国際連合の主催の下に会議を招集する。会議において出席しかつ投票する締約国の過半数によって採択された改正案は、承認のため、国際連合総会に提出する。
  2. 1の規定により採択された改正は、国際連合総会が承認し、かつ、締約国の3分の2以上の多数が受諾した時に、効力を生ずる。
  3. 改正は、効力を生じたときは、改正を受諾した締約国を拘束するものとし、他の締約国は、改正前のこの条約の規定(受諾した従前の改正を含む。)により引き続き拘束される。

第50条では、本条約の改正について、全ての締約国は条約の改正を提案することができることや、具体的な改正の手続きや改正の成立条件について定めています。改正が成立しても、その改正が拘束するのは改正を受諾した締約国のみで、他の締約国は改正前の条文が適用されます。

条約の改正について表した図

第51条


  1. 国際連合事務総長は、批准又は加入の際に行われた留保の書面を受領し、かつ、すべての国に送付する。
  2. この条約の趣旨及び目的と両立しない留保は、認められない。
  3. 留保は、国際連合事務総長にあてた通告によりいつでも撤回することができるものとし、同事務総長は、その撤回をすべての国に通報する。このようにして通報された通告は、同事務総長により受領された日に効力を生ずる。

第51条では、留保について規定されています。

第52条


締約国は、国際連合事務総長に対して書面による通告を行うことにより、この条約を廃棄することができる。廃棄は、同事務総長がその通告を受領した日の後1年で効力を生ずる。

第52条では、条約の廃棄について規定されています。締約国は、国連事務総長に書面で通告することで条約を廃棄することができ、通告の受領した日の後1年で廃棄の効力が生じます。

第53条


国際連合事務総長は、この条約の寄託者として指名される。

第53条では条約の寄託について定められています。本条約では、国連事務総長が寄託者として指名されています。

第54条


アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及びスペイン語をひとしく正文とするこの条約の原本は、国際連合事務総長に寄託する。以上の証拠として、下名の全権委員は、各自の政府から正当に委任を受けてこの条約に署名した。

第54条では、本条約がアラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語、スペイン語をひとしく正文とし、原本が国連事務総長に寄託されることを記しています。

BACK