取材②(My Own Place)
「My Own Place」(通称:MOP)は、神奈川県藤沢市で子どもの居場所作りの活動を行っている学生団体です。同団体のご担当の方にお話を伺いました。My Own Placeと、ご対応いただいたご担当の方に御礼申し上げます。
MOPについて
MOPは2016年に、「子どもたちに経済的な理由で夢を諦めてほしくない」「子どもの居場所を作りたい」といった想いから慶應義塾大学の学生らによって設立されました。現在では、複数の大学の学生によって運営されています。同団体では、「湘南台MOP HOME寺子屋」と題する活動を、藤沢市湘南台にある「東勝寺」にて行っています。月の第2土曜日と第4土曜日の13時30分から19時まで、東勝寺で子どもたちの来られる「第3の居場所」を提供しており、18歳以下への無償の食事の提供も行っています。保護者や見学者の食事は有料での提供ですが、地域の人々などの子どもたち以外の参加もあるそうです。東勝寺では、MOPの学生たちが子どもたちと遊んだり、食事を食べたりして成長を支えています。5.5時間もの長い活動時間は、「子どもたちがいつ来ても、いつ帰ってもいいようにしたい」との想いからです。取材担当者は、「MOPでは、居場所作りを主眼において活動をしており、食事の提供はその一環。」と話します。他にも、活動時間内には、近所の公園で遊んだり、餅つき大会、ビンゴ大会、農家の協力によるミカン狩りなどのイベントも行っています。また、「勉強をしたい」という子どもには、学習支援も行っています。
活動の見学をした際には、子どもたちと大学生の、親密ながらも近すぎない「ナナメ」の関係(後述)があり印象的でした。また、初めて活動に参加するという大学生も多く来ており、活動の輪は広がっていっているようでした。
地域に根ざした活動
MOPの活動資金は、食事の提供に必要な食材は寄付によって賄われています。地域住民や、活動場所である「東勝寺」の檀家からの金銭的寄付以外にも、近所の農家から食材を寄付されることもあるそうです。食事を提供する際には、ご飯と味噌汁は自炊し、おかずは弁当を購入しており、寄付された食材は自炊に使われています。活動場所も、東勝寺から無償で提供されています。MOPは設立当初、地域とのつながりのある寺院や教会を活動場所として探していました。東勝寺の住職は、当時から在日外国人向けの日本語教室を開くなど、ボランティア精神があり、場所の提供を受けることになったそうです。取材担当者は、「MOPでの活動の特徴は、低コストで行えること。そのため、事業も比較的持続しやすいと考えている。」と語ります。
また、MOPでは活動の周知としてソーシャルメディアの運営を行っていますが、子ども達の間での口コミや、東勝寺の檀家、地域の人の紹介で、子どもたちが来るようになることが多いと言います。取材担当者は、人を通して知った方が活動に来やすいのではと考えています。「湘南台MOP HOME寺子屋」に来る子どもは、地域の子どもが多いようです。
MOPの今後の活動の展開については、取材担当者は、活動を広げようという意思はないと言います。「活動規模を広げると、寄付や集まる子どもの数は増えるが、色々な状況の子どもが来る中で、多くの子供がいると行きづらくなる側面もある。行きたいと思った子どもが来られる今の状況を続けていきたい。」と取材担当者は話します。
成長に愛を
MOPでは、「成長に愛を」の想いのもと活動をしています。卒業生は、幹事として相談役となっていますが、活動の中心は大学生です。子どもたちにとって大学生は、親や先生などの子どもたちにとって「タテ」の関係、友達などの「ヨコ」の関係のどちらにも当てはまらない「ナナメ」の関係性で、MOPではこの関係を大切にしています。
取材担当者は、親に育ててもらったり、大学進学の際に奨学金の給付を受けたりする中で、「身近な人だけでなく、見ず知らずの人にも支えられている。」という想いを抱くようになったそうです。人に支えられることのできた立場から、別の人を支える責任があると考えるようになりました。また、中学生のころなどには、自分の居場所がなく、欲しいと思っていたようです。こうした想いから、取材担当者は、居場所作りの活動に関わるようになったそうです。取材担当者は、「自分が子どもに支えられている感覚もある。」と話していて、印象的でした。活動に携わるのは、「助けている」という印象ではなく、「活動が楽しい」や「自分がやらないと代わりはいない」といった考えによるものだとも考えているそうです。
また、中高生へは、「みんなは見ず知らずの人も含め、色々な人に支えられている。社会を支えている役割がボランティアによって担われていることも多い。世間は人々のボランティア精神にも大きく支えられているということに気づくと、色々なことが見えてくる。人同士で助け合うことが大切。」と語りました。