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取材①(湘南まぜこぜ計画)

湘南まぜこぜ計画」は、神奈川県藤沢市を中心に、子どもを支援する活動をしているNPO法人です。同団体の共同代表の原田建さんに活動についてインタビューを行いました。湘南まぜこぜ計画と、ご対応いただいたご担当の方に御礼申し上げます

NPO法人 湘南まぜこぜ計画
(画像提供:湘南まぜこぜ計画)

同団体では、居場所支援や学習支援、食事支援、10代への性教育など様々な活動をしています。2016年に子どもの居場所として「寺子屋ハウス」を設立し、2018年にはその事業を受け継ぎ同NPO法人を設立しました。子どものインタビューでは特に、居場所支援学習支援食事支援について伺いました。

寺子屋ハウス

寺子屋ハウスは、同団体の共同代表によって学校、家庭に次ぐ子ども達の「第三の居場所」として2016年に設立されました。現在では、同団体がこの活動を実施しており、藤沢市内の公園や青少年会館にて開かれています。

寺子屋ハウスは、2015年頃から「子どもの貧困」の問題に注目が集まるようになる中で、子ども達が自由に、のびのびと遊べる居場所を作ろうと設立されました。設立時には、全国各地で「子ども食堂」の活動が広まっており、世間から注目もされていましたが、同時に子ども食堂に対して「貧困家庭しか利用しない」という印象が広く持たれていました。原田さんは、貧困層だけでなく、誰でも来られる場所を作ろうという思いで事業を始めました。

寺子屋ハウスは、ひとり親家庭貧困家庭の子ども、不登校の子どもなどが利用するケースが多く、それぞれの事情に適した支援を行っています。「子どもたちが寺子屋ハウスに通う中で、不登校や十分な食事を摂れていないといったそれぞれの子どもの事情が見えてくる」と原田さんは話します。そのような中でも、「誰でも来られる場所」の理念のもと、原田さんは希望する人は誰でも受け入れるというスタンスで運営しています。

私たちは、寺子屋ハウスが開かれている公園でインタビューを実施しましたが、取材時には、小学生から通っている高校生や、小中学生など、比較的幅広い年齢の子どもが利用していました。また、原田さんを「おっちゃん」と呼ぶ子どももおり、団体のスタッフと子どもたちがとても親密に接していたことが印象的でした。

学習支援

同団体では、他の学習支援団体と連携して、小中学生を対象にした学習支援活動も行っています。「湘南まぜこぜ計画」は、学習支援団体と支援を必要としている子どもを結ぶ役割や、学習支援を行う場所の提供などの役割を担っています。同団体が運営する「寺子屋ハウス」には、家庭の経済的事情から塾へ通えない子どもや、不登校の子どもなども通っていおり、そのような子どもにも学習機会を提供できるようにと学習支援を行っています。

2016年に成立した教育機会確保法では、不登校生徒などにも教育機会が与えられるようにすることを国や自治体の責務とし、学校以外にも「多様で適切な学習活動」の重要性を認めました。原田さんは、「同法によって不登校の小中学生にも教育を提供する公的な制度ができたが、課題は残っている。」と話します。不登校児童へのバックアップが不十分で、児童が引きこもりになってしまうこともあるそうです。また、小中学校において、放課後にOB教師などが少人数で学習支援を行う、「放課後学習支援」は財政的事情によって需要に対して機会の提供が追いついていないのが現状です。

原田さんは「藤沢市において、不登校の児童・生徒は年々増加している。こうした子どもにも、学習機会が必要。」と話します。

子ども弁当

経済的な事情や保護者の仕事や病気によって子どもの食事の用意が困難な家庭を支援しようと、同団体が行うのが「子ども弁当」事業です。新型コロナウイルスの感染拡大による休校によって、給食がなくなり、食事支援を必要とする家庭が増えたことを背景に、2020年から行っています。新型コロナウイルスの感染拡大によって、飲食店が持ち帰り販売を始めたため、子どもたちにも飲食店の弁当を提供しようと、同団体が藤沢市内の飲食店に協力を働きかけ、現在では17店の協力を得ています。

「子ども弁当」の事業内容は、協力する飲食店の弁当を100円で提供するというものです。1食にかかる400円のうち300円を補助金や基金からの寄付を原資にNPOが負担します。飲食店の作る「プロの弁当」を100円で食べることができるため、好評だそうです。

原田さんは「子ども弁当の仕組みが確立してきた。この仕組みを広めていきたい。」と話します。

団体の運営

同団体の活動資金は、個人や企業、基金などからの寄付補助金で賄われています。こうした資金確保のため、団体としての信用を高める必要があり、Webサイトの開設を決めました。メディアに取り上げられるなど、活動の周知も寄付や支援の拡大には必要です。子ども弁当事業は、タウンニュースやNHKや朝日新聞、TBSラジオなどの大手メディアにも取り上げられ、これらの記事はオンラインニュースサイトでも配信されました。原田さんは「メディア、特にネットニュースの影響力が強い。寄付につながったり、ボランティアや支援を求める問い合わせも増加した。」と話します。

「まぜこぜ」なコミュニティー

団体名である「湘南まぜこぜ計画」は、子ども、大人、高齢者、外国人、LGBTQなど、色々なコミュニティーが「まぜこぜ」となって、共に助け合うべきとの理念から名付けられました。寺子屋ハウスの活動場所である公園は、ハローワークの隣にあり、活動の一環として炊き出しを行っていたところ、ハローワークの利用者も利用するようになり、大人も含めた「まぜこぜ」のコミュニティーになっていきました。 共同代表の原田さんは藤沢市議会議員でもあり、子どもから大人まで、それぞれが色々な困り事を抱えてくるようになったコミュニティーでは、そうした問題に議員としても対処しており、困り事を抱えた人と行政とのパイプ役としての役割も担っています。原田さんは、「実際に支援活動を行っていると、経験を議員としての仕事に活かすことができる。互いの活動が相互に活きている。」と話します。

最後に、原田さんに子ども達を支援する上での理念について尋ねました。原田さんは、「子ども達が子どもらしく居られる環境を保障するのは大人の責任。子ども達には、家庭や学校以外にも色々大人に頼ることができるということを伝えたい。」と語ります。また、支援の理念として、「子ども達が可哀想だから、できることはやってあげよう」という考えではなく、子ども達が何を必要としているかを出発点として、やるべきことをするべきと考えています。

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