第11条よその国に連れさられない権利
- 締約国は、児童が不法に国外へ移送されることを防止し及び国外から帰還することができない事態を除去するための措置を講ずる。
- このため、締約国は、二国間若しくは多数国間の協定の締結又は現行の協定への加入を促進する。
本条の目的は、主に海外に居住している児童に人身売買などの危害が加わり、その国から不法に運ばれてしまうことを防止する措置を各国に要請することです。多数国間の協定の例として、82か国が加盟している国際的な条約である「人身売買禁止条約」があります。また人身売買は主に女性への搾取を指していることに対し、人身取引などの強制労働・臓器売買といった、性的搾取以外の問題にも対応するため、人身売買禁止条約のみならず、「国際犯罪防止条約」、そして平成29年に、それらを補足する「人身取引議定書」など、日本も対策に応じた条約を批准しています。そしてこの条約に一番当てはまるのが、1980年に採択された「ハーグ条約」です。国境を越えた子どもの不法な連れ去りを防止することを目的としています。
日本国内の取り組みとしては、法務省において国際移住機関と協力した人身取引対策の人材育成をおこなったり、平成28年には「児童の性的搾取等に係る対策に関する業務の基本方針について」を閣議決定し、警察庁を中心とした子どもの性被害防止プランなども計画しています。