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権利の歴史

2022年 「こども家庭庁設置法」「こども基本法」制定

2022年6月15日、「こども家庭庁設置法」及び「こども基本法」が可決・成立しました。これにより、子ども政策を横断的に担う行政機関子どもの人権を包括的に保護する基本法ができたということになります。同法は2023年4月から施行されます。

「こども基本法」は、国内において子どもの権利を総合的に保障する法律です。これまでは、前述した「児童福祉法」や「児童虐待防止法」、「子どもの貧困対策推進法」などのそれぞれの分野に対応する法律によって、子どもの権利の保障が行われていました。所管省庁もそれぞれで異なり、「バラバラ」の状態になっていました。また、「障害者基本法」や「男女共同参画社会基本法」により、障害者や女性の権利が包括的な「基本法」によって保障される中、子どもの権利については「基本法」が制定されていませんでした。こうした中で、相互に関連し合う子ども政策によって、幅広く横断的に子どもの権利を保護するには、国の子どもの権利保障への理念や基本方針、原理原則を定めた「基本法」が必要とされ、同法の制定にいたりました。国連子どもの権利委員会からは、子どもの権利を総合的に保障する「基本法」の制定が幾度も勧告されていました。

同法では、「憲法子どもの権利条約の理念に則り、全ての子どもが自律した個人としてその権利を擁護されるようにする」ことや、子どもの意見表明権の尊重や、「子どもの最善の利益」などが理念として掲げられています。同法では、国が子どもに関する政策を総合的に策定することや、国や地方自治体が連携して政策を実施することを「責務」としました。

「こども家庭庁設置法」は、こども家庭庁を設置する法律です。こども家庭庁は、同庁長官をトップとして内閣府の外局として設置され、これまで各省庁に管轄が別れていた、子ども・若者・子育て政策を一本化し、政府における子どもや子育てに関する政策の「司令塔」となります。これまで、子どもの貧困対策や少子化対策などは内閣府が、児童虐待防止や児童養護施設などは厚生労働省が所管していましたが、内閣府と厚労省のこうした子ども・子育て対策に関する部局はほぼ全て同庁に移管される予定です。いじめ防止対策などの文部科学省が所管している分野など、子ども・子育てに関する分野でも共同での管轄となったりや一定の関与となったりする分野もあります。同庁は、子ども・子育て政策において、他省庁よりも高い立場から、子どもの視点に立って政府内の調整を行い、他省庁への勧告権を持ちます。

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