第32条経済的搾取・有害な労働からの保護
- 締約国は、児童が経済的な搾取から保護され及び危険となり若しくは児童の教育の妨げとなり又は児童の健康若しくは身体的、精神的、道徳的若しくは社会的な発達に有害となるおそれのある労働への従事から保護される権利を認める。
- 締約国は、この条の規定の実施を確保するための立法上、行政上、社会上及び教育上の措置をとる。このため、締約国は、他の国際文書の関連規定を考慮して、特に、
- 雇用が認められるための1又は2以上の最低年齢を定める。
- 労働時間及び労働条件についての適当な規則を定める。
- この条の規定の効果的な実施を確保するための適当な罰則その他の制裁を定める。
児童の経済的搾取と聞くと日本ではあまり馴染みのない問題ですが、世界的にみると、児童に対する経済的搾取として挙げられる強制労働問題は多く、諸問題に対する対策として本条が制定されました。「契約国は、ほかの国際文書の関連規定を考慮して」とありますが、これは主に児童労働に対するILO条約などを指しており、ILO(国際労働機関)が1973年に採択した「就業が認められるための最低年齢に関する条約」、そして1999年採択の「最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃のための即時の行動に関する条約」が挙げられます。
二項にあるa,b,cについては、各国の制定した法律があり、日本を例にあげるならば、日本の労働基準法第60条二項では、児童の法定労働時間は修学時間と通算して週40時間、1日につき7時間以内、第56条では雇用が認められる最低年齢は、満15歳に達した日以後の最初の3月31日までと定められています。