第12条意見を表す権利
- 締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。
- このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。
本条では、子どもの意見表明の権利を規定しています。子どもは、意見表明の能力が十分に発達していないと見なされ、「半人前」として扱われてしまうことがしばしばあります。意見表明権が保障されていることは、子どもを「一人前」として扱うために不可欠です。本条は、子どもの権利条約の中でも特徴的な条項として認識されています。
条約に定められている詳しい内容
一項では、締約国が、自分の意見をまとめることのできる子どもが、その子どもに影響を与える事柄について自由に自らの意見を表明する権利を保障することを規定しています。また、その意見が子どもの年齢や成熟に応じて正当に尊重されることが定められています。また、二項では、本条の目的を達成するため、子どもに影響を及ぼす全ての司法、行政上の手続きにおいて、子どもは自分自身が直接、もしくは代理人、団体を通じて意見を聞かれる機会が与えられなければならないことを定めています。
児童福祉、家庭、学校など、子どもの意見表明権が尊重されるべき場所は多くあります。日本では、2016年の児童福祉法改正において、子どもの意見表明権の保障が明文化されました。その後も、子どもの意向が尊重されずに虐待などの事件が発生したことなどから、2022年の児童福祉法改正において、児童相談所等が子どもの意見や意向を勘案するために意見聴取などの措置を講じることが義務付けられました。他にも、ブラック校則などが問題となっている学校や、家庭においても、子どもの意見表明権の保障が求められています。