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権利の歴史

2000年 「子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーに関する選択議定書」

国連人権委員会が、児童売買を世界から根絶するために必要となる措置を内容とする子どもの権利条約選択議定書の草案検討作業部会の設置を決めたのは1994年のことです。当時は、世界各地で児童売買が行われていました。2000年には、作業部会の前文と17の条文で構成される最終案が「子どもの売買、子ども買春および子どもポルノグラフィーに関する選択議定書」として国連総会で採択されました。児童売買の主な目的としては、売春などの性産業児童労働への従事や、児童ポルノの被写体とすること、違法な臓器提供の提供者とすることなどがあるとされています。議定書は、締約国が、児童売買、児童買春、児童ポルノを禁止することや、児童買春などの犯罪行為が行われた場合は、その場所の国内外を問わず締約国の刑法または刑罰法規の適用を完全に受け、これらの犯罪についてその重大性を考慮した適当な刑罰を科することができるようにすることが定められました。

日本においては、1994年の世界会議において東南アジアでの児童買春の加害者を生み出しており、また、子どもポルノの生産地としても国際社会からの強い非難を浴びるなどしていた背景から、1999年「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」(児童買春・児童ポルノ等禁止法)が制定されました。しかし、児童売買や被害児童の保護に関する法整備が進んでいなかったことから、本選択議定書での要求が満たされているとはいえない状況であり関連法の改正と議定書の早期批准を求める声も上がっていました。2004年には改正児童買春・児童ポルノ等禁止法、改正児童福祉法が成立し、2005年に日本は本選択議定書を批准しました。2022年時点での本選択議定書の締約国は178ヵ国です。ただ、昨今の日本においても、アメリカ国務省の「2022年度人身取引報告書」では、日本は技能実習生への労働搾取や性風俗産業の児童労働や労働搾取、日本人男性のアジア圏への児童買春旅行の問題などが指摘され、「人身取引撲滅のための最低基準を十分には満たしていない」とされており、児童を含む人身取引への対策が十分ではないとの指摘もあります。

本選択議定書の内容は、子どもの権利条約では第11条・第21条・第34条・第35条・第36条などと関連します。

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