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権利の歴史

2000年 川崎市「子どもの権利に関する条例」制定

2000年12月、川崎市議会において「川崎市子どもの権利に関する条例」が成立しました。本条例は、日本で初めての子どもの権利に関する総合的な条例です。子どもが決して幸せとはいえない状態に置かれているとの認識のもと、1994年の日本の子どもの権利条約の批准を契機に、1998年に当時の川崎市長が「川崎市子ども権利条例検討連絡会議」に対して「子どもの権利条例案の策定」を諮問し、条例の策定が始まりました。

本条約は、市民が参加して条例案が策定されたことが特徴です。1998年の策定開始から、2000年の条例案の市長への答申まで、市民や子どもたち、研究者、市職員等による話し合いが何度も行われました。「調査研究委員会」には、おとな委員とともに9名の子ども委員が参加し、また、子どもたちの目線から条例案を検討するための「子ども委員会」は公募で選ばれた小学生から高校生までの子ども30名で構成されました。このように、「市民立法」の形をとった本条例は、策定過程において子どもたちの意見も反映されています

条例は、子どもの権利保障の理念やその上での具体的な制度や仕組みを規定する条文などからなり、前文と41条の条文から構成されます。前文では条例が子どもの権利条約の理念に基づいて制定されていることが明記されており、他の条文においても子どもの権利条約の考え方が取り入れられています。

川崎市では、条約の施行に伴って、子どもの権利の理念の普及活動をしたり、「川崎市子ども会議」などを設置して子どもたちの意見を市政に反映できる制度をつくったり、第三者の立場から市の子ども政策を検証する「川崎市子どもの権利委員会」の設置、市に「子どもの権利担当部署」を設置するなどしています。

子どもの権利を保障する上で、条約や国内法は理念や制度を構築していますが、実際に政策や取り組みを実施する現場に近いのは国際枠組みや国よりも、地方自治体や民間団体であるといえます。そうした、現場に近い地方自治体において、子どもの権利に関する条例が制定されることは、現場レベルでの権利保障や、より直接的な実効性のある政策を取ることを促進する意義があると考えられます。

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